PADDLE TO OSHIMA 2007
2007年8月18日(土)

まだ陽も昇らない朝4時にPADDLE TO 大島にチャレンジすべく湘南アウトリガーカヌークラブの面々が湘南港に集合した。

大島までパドルで行くなんて、一般の人から見れば理解しがたい行為かもしれない。
もちろん潮の流れや天候によっては危険を伴う。
江ノ島〜大島までは、直線で約65km。エンジンのついた船で行けば、ものの2時間もかからない距離だ。
空気の澄んだ日には大島の島影を肉眼で見ることもできる。近いようで遠い島。
日々の練習の成果とともに、それを体感すべくこのチャレンジが行われる。
一艇のアウトリガーカヌーを繋ぎ大島を目指します。
本年度のクラブ説明会を行った3月に8月18日(往路)・19日(復路)に大島チャレンジを行いますと発表があった。
そして8月、希望者の中からクラブマネージャーがある程度のパドル力と泳力があることを判断しクルーが選ばれた。
総勢28名。互いに信頼しているからこそ同じ船にのり、パドルをあわせることができる仲間達だ。

この日の朝の状況次第では中止もあり得た。単なる無謀な挑戦ではなくしっかりとした安全対策のもとに行われる。
今回は大島の漁師「秀作丸」望月さん・「第三昇丸」平野さんのご協力により往復の伴走をサポートしてもらうことになっている。
当日の海の状況、天候、風、全てを考慮して、最終判断が下された。

今回諸事情で惜しくも参加できなかったメンバーが早朝にも関わらず見送りにきてくれた。
江ノ島の浜辺で拾った石をそっとクルーに手渡し、「大島についたら大島の石と交換してきてください。クラブメンバーしか分からないが、大島と江ノ島がカヌーによって結ばれた小さな証として浜に置いておきましょう」と。


心あたたまる見送りを受け、陽が昇った5時30分湘南アウトリガーカヌークラブ、ファーストクルーであるモロカイメンバー6人がアウトリガーカヌー(OC-6)で湘南港を出発した。

このモロカイメンバーは毎年ハワイで行われるモロカイホエという大会に出場すべく練習を行っている。
湘南アウトリガーカヌークラブでは各メンバーがそれぞれに目標を持ってパドルができる環境にある。レース、トレーニング、ファンそれぞれにあわせたプログラムが用意されている。
こうした、年、数回行われるクラブのチャレンジやレースイベントにクラブメンバーが一丸となって集結する。

天候曇り。北東の風7M。大島に向けて追い風。
波は台風8号がフィリピン沖を西へ進んでいたため、ウネリのみが届きはじめビーチで肩前後。
沖合いにでるとそれ程サイズはないが、北東の風を受け横からの波が随時ありフリ(横転)の可能性あり。
この日の潮の流れ、風をみてサポート船の船長から、江ノ島から大島へ直線コースをとるように指示が出ている。
モロカイクルーがガン漕ぎで30分。あっという間に江ノ島沖合いに到達。
交代間際に横波を受けバランスを崩し、カヌーがフリ。ファーストクルーでもフリをするんだ〜と少し気が楽になったと同時に「と、いうことは…」皆の緊張感が高まった。

フリをした時の見本を見せてもらい、次のクルーへと交代。
(もちろんフリした時の対応も通常の練習メニューで行っているので問題はありません。)
次は湘南アウトリガーカヌークラブ、レディースチーム。女子のみでハワイで行われるコナレースという大会に出場したりもしています。

そして次はオーバー40で結成しているコナクルーへとカヌーを繋ぎます。こちらのクルーも大会上位を目指して日々練習をしているクルーです。ガン漕ぎで30分。雲が多いこともあり、既に辺りには島影はなく見渡す限り雲と海。

サポート船が大島へのコースを先導してくれるので予定コースを大きくずれることはないので安心だ。
次はトレーニングの一貫としてクラブ練習に参加しているメンバーで構成されたクルーが2組乗り繋ぎ、かれこれ3時間が過ぎたころ。やっと半分ぐらいのところまで到達。

モロカイメンバーに1順した時、カヌーを追いかけるように黒い三角形の背ビレがスッ〜と海面に顔を出した。
出発前に漁師さんから、途中サメが多いところがあるからチェンジの時は迅速にという注意を受けていた。
サメといっても小さいやつだろうと特に気にしていなかったが、カヌーの側にいたのは5メートル近いサメだった。
漁師さんいわく、人を襲うこともあるサメということだ。そんなのがウヨウヨとしていた。

次からのチェンジで海に飛び込む時は皆ヒヤヒヤものだった。映画ジョーズのワンシーンが脳裏に浮かんでいたことだろう。
やっと大島が雲と海面の間に見えてきた。ここからが長かった。大島はでかいのだ。

目標が見え始めると一瞬あと少しだぁとホッとするのだが、島の周辺は流れも強くここから3時間かかった。
こうして皆で1艇のカヌーを乗り繋ぎ無事大島岡田港に到着。
江ノ島港を出発してから6時間33分。まだ半分だがホッと一安心。堅い握手が交わされた。


往路のみ参加し、フェリーでとんぼ帰りするクルーもいます。
復路のみ参加のクルーもフェリーで来島し、合流。
皆それぞれに、仕事も家庭もありスケジュール調整も大変。
それでもこのチャレンジに参戦しようという意気込みが感じられます。
(ヨネさんお見送りに行かずすみません。m(__)m 皆シュノーケリングをして遊んでました。タフな人たちです…)
大島でお世話になった、伊豆大島宿「あさの」さん。

夜はバーベーキューでエナジー補給。お酒もそこそこに皆9時には就寝。
そりゃそうだ。朝の4時から海を渡ってきたのですからね。
明日は風がかわり、湘南に向けて追い風となる南の風が吹くことを祈ろう。
2007年8月19日(日)
朝5時起床。朝から暑いくらいの陽射しがさしている。予報では曇りまたは雨ということだったのに…
昨日はよかったが、今日は暑さとの闘いになるなぁと皆口々につぶやいていた。

朝御飯を済ませ、7時にチェックアウト。港で一夜を明かしたカヌーのもとへ。

風は弱い南風だ。海面はほぼフラット。気温が上昇して風が強まることを祈りつつ江ノ島へ向けてパドルスタート。
フラットの海は漕ぎやすいが自力で進まざるを得ないので辛い。しかもガンガンに照りつける陽射し。

サポート船には漁師さんのご好意で日除けがつくられた。
30分のガン漕ぎは結構つらい。サポート船から皆が見ているので手をぬくこともできない。

モロカイクルーはピッチ72(1分間に72回漕いでいるということ。)流石だ。
天候がよく視界がいいのでしばらくすると伊豆半島、三浦半島、などを確認することができサポート船にのっている時間も楽しいものだった。

半分を過ぎたころには遠くに江ノ島を確認することができた。このころになると追い風となる南風も強まり背中を押してくれた。
台風8号からのウネリの伝達もはっきりと認識できた。巨大なウネリがビーチへ向かってカヌーの下を追い越していく。
ビーチでは頭サイズの波がブレイクしていることだろう。
江ノ島の色が見えだしたころには、風によって海面も無数の波がたちはじめ上手く波をつかめばしばらく波にのることもできるようになった。
復路も条件に恵まれ、往路よりタイムを縮め5時間40分というタイムで湘南港に全員無事に到着することができた。


約半年前からこのチャレンジを企画、準備、してくださったクラブマネージャー。関係者の皆様本当にありがとうございました。
一人の力では決して成し得ないことに挑戦する機会を与えてくれたことに感謝します。
これから空気の澄んだ日に目にする大島も違った気持ちで見ることができると思います。
文明がどんどん進化していく中、一旦立ち止まり人間が本来持っている力を振りかえることも必要だと思います。
そして地球に、自然に、海に感謝する心を持たなくてはいけないと思います。
そして何より皆を乗せて、無事に海を走りつづけてくれたカヌーに感謝したいと思います。
来年は利島、再来年は新島。な〜んて。と冗談半分に言っている目が真剣だったのがちょっと恐いですが、今後もチャレンジし続けましょう。
大島から持ち帰った小さな証はカヌーの側にあると思います。毎年チャレンジごとに増やしていきましょう。
これを読んでアウトリガーカヌーに乗ってみたいなと思った方がいらっしゃいましたら、是非ともチャレンジしてみてください。
そしてもしカヌーに乗る機会があったら、アウトリガーカヌーは道具ではなく、生き物であることを感じてみてください。
